愛知大学の図書館で借りて読んだ本をつらつら語るブログです。本によって記事に波がありますが、ご容赦くださいませ。
タイトル順索引を作りました。ご活用ください。
※タイトル欄( )内は著者名です
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おひとりホテルの愉しみ(富田 昭次)
JUGEMテーマ:自分が読んだ本

おひとりさま
自分にご褒美

などという女子な言葉に嫌悪感を覚える方も
多いと思いますが、まさしくこの言葉を
実現するための、ひとりで楽しむホテルの紹介本です。

パークハイアット、インターコンチネンタル、
フォーシーズンズ、帝国ホテル、ホテルニューオータニ・・・と
私でもわかる高級ホテルがずらずら出てきます。
おひとりで自分にご褒美といっくら言い聞かせても
このホテルにひとりで泊まることなぞ今後の人生にありうるのか。
などと思いながらも、高級ホテルの部屋の雰囲気、従業員の心配り、
窓から広がる夜景・・・などなど、読んでいるだけでいい気分。
朝ご飯だけなら手が届くかなあ・・・

そんな手の届かないド高級ホテルばかりではなく、
ちょっと面白い、素敵なビジネスホテルも複数取り上げられます。
大浴場があったり、書斎フロアがあったり、ロビーの居心地が良かったり。
「寝るだけに帰る」「狭い」ビジネスホテルのイメージを覆す、
内装にも気を配ったホテルも沢山出てきます。
ご近所だと、「ホテルアークリッシュ豊橋」「カンデオホテルズ半田」が
なかなか良いホテルだそうですよ。

ホテルに泊まるという行為そのものを楽しむために、泊まる。
おうちでゆっくりとはまた別の気持ちよさを、味わいに行きたいです。

おひとりホテルの愉しみ / 富田昭次著||オヒトリ ホテル ノ タノシミ
光文社 , 2009.2 247p
名古屋所蔵
Q&A(恩田 陸)
JUGEMテーマ:自分が読んだ本

こわい。これはこわい。 

軽い気持ちで見た世にも奇妙な物語が
予想外にちゃんと怖かった時よりもこわい。

表紙からもタイトルからも裏表紙の解説からも
こんなにこわい話だったなんて全然読み取れなかった。

大規模商業施設で起きた、謎の大事故。
死者は60名超、負傷者は100名超という規模だったにも
関わらず、原因も犯人も特定できないという状況から開始します。

話の進行は、全てQ&A。
聞き手と話し手はほぼ毎回変わります。
途中まで、この事件を外から見ていた人や
事実その場にいてケガをした人などに話を聞いていきます。
事件の原因は何か、その場で何を見たのか、なぜ逃げたのか。

特にこの話の3分の1くらいまで進んだところから
雲行きが怪しくなります。
この事故の周辺に存在する人たちの、なんと業の深いこと。
生死やカネの周りで、人の精神はここまでゆがむのだという
それはそれは背筋がぞっとする話を、話し手は淡々と語る。

そしてこの話し手は特別な人たちではない。
商業施設という日常の場所で関わる、私であり家族であり友人、隣人。。。
平和な日常の中でかぶっている皮はいとも簡単にはがれてしまう。

事故そのものよりも、その後の人間の行動や思考のほうがよほど恐ろしいと
思い知らされました。
360度全方位から眺める感じは同著者の「ドミノ」と似ていますが、
その題材は180度違う。でも恩田さんの文章は好きなので、
次はもうちょっとライトなモノを読もう・・・

Q&A / 恩田陸[著]||Q & A
 幻冬舎 , 2007.4 382p
名古屋所蔵


家紋を探る(森本 景一)
JUGEMテーマ:自分が読んだ本

家紋、洗練されていて素敵なデザインです。

なかなか着物を着る機会も無いし、
目にするのはお盆の墓参りとお葬式くらいしか無いのが
残念ですね。

そんな家紋について、「着物の医者」、染色補正士の著者が
詳しくわかりやすく教えてくれるのが本書です。

家紋の発祥及び国民生活の変化に伴う変遷にも
触れられますが、それよりも家紋そのものの面白さを
存分に語ってくれます。

家紋の「蝶」はなぜ蛾にしか見えないのか。
幸せの文様なのに意外と使われない「蝙蝠(こうもり)」。
「光琳」「利休」など、人名(尾形光琳、千利休)を冠する
家紋のデザインは、それぞれの画風や好みを反映していて素敵だとか。 

ほかにも、家紋にはものすごく細かいバリエーションがあるので
着物への紋入れ注文の際にこんな間違いがあった、とか
墓石などに彫られる紋は、石の強度との関係から簡略化されている可能性もある、とか。

わが家の家紋も好きですが、
こんな家紋だったら、着物に紋を入れるのが楽しいだろうなーという
家紋も満載でした。でも、「蝶」は・・・うーん。

家紋を探る : 遊び心と和のデザイン / 森本景一著||
カモン オ サグル : アソビゴコロ ト ワ ノ デザイン
平凡社 , 2009.1 223p
豊橋、名古屋所蔵

本を開いて、あの頃へ(堀部 篤史)
JUGEMテーマ:自分が読んだ本

この本が大学図書館にあるなんて。
と、浮かれて即カウンターに持って行った本は本当に久しぶりです。

2009年に発行された本ですが、
いろんなところで話題になっていたので気になっていた本です。
著者は、京都、一乗寺の書店「恵文社」店長です。

「恵文社」は京都を取り扱う本にかなりの確率で掲載される、
素敵な雰囲気を醸し出す書店です。
一度しか行ったことありませんが。

その店長が、1話につき1冊の本または雑誌を取り上げる形式のエッセイです。

さすがというか、全くばらばらなセレクトです。
写真集からSF短編集、和書洋書、マンガから雑誌まで
たったの25冊のなかでこれだけのバリエーション。

最も読みたくなったのは
「京都の平熱 哲学者の都市案内」。
京都という一般的なイメージに
引きずり込まれることなく、淡々とした都市案内に
著者の堀部さんは共感を寄せていました。

ほかにも阿房列車(マンガ版)から宮沢賢治、
ラーメン大好き小池さんからキン肉マンまで
元ネタがわからなくても面白い、読みたいと思わせる語り口は
書店店長という職業柄なのか。こんな面白い本ありますよと
オススメされているような錯覚を覚えました。

本に関する本でありながら、
もう一度読みたいなと思わせる本でした。

本を開いて、あの頃へ / 堀部篤史著||ホン オ ヒライテ アノ コロ エ
mille books 139p
名古屋所蔵
ブレインハックス−人生を3倍楽しむ脳科学(佐々木 正悟)
JUGEMテーマ:自分が読んだ本
 
今をときめく脳科学、から
勉強、仕事、人付き合い、ダイエット、そして人生そのものを
楽しく効率的にこなす方法を考えるという非常に俗っぽいハウツー本です。

勉強は、いろいろな環境でやらないと
いざというとき思い出せない、ただし手順は変えないこと、とか。

仕事を早く終わらせるには、できるだけ細切れにして
強制的に小休止を入れろ、とか。

ダイエットは「禁止する」じゃない、「先延ばし」にしろ、とか。

特にダイエットはああ確かになるほどと思いました。
例えばチョコレートを禁止すると、いざ食べたくなったときに
明確に意識上にのぼってしまって(食べたい、いや禁止だ)、かえってきつくなる。
「先延ばしにする」であれば、今やっていることをそのまま
継続すればいいのだから「チョコレートに意識を向けなくても済む」
ということだとか。

●●ハックスという本、最近多いですけど、本書もそのたぐいです。
でもそんなに張り切った内容ではないですし、バリバリの仕事人でなくても
関係のあるものばかりが取り上げられていて面白かったです。

ブレインハックス : 人生を3倍楽しむ脳科学 / 佐々木正悟著||
ブレイン ハックス : ジンセイ オ サンバイ タノシム ノウ カガク
毎日コミュニケーションズ , 2007.7 p222
名古屋所蔵
遺言状を書いてみる(木村 晋介)
JUGEMテーマ:自分が読んだ本

木村弁護士の、遺言状指南書です。
とても面白いです。かつわかりやすいです。


まず始めに、福島瑞穂、清水義範といった
著名人が試しに書いた破天荒な遺言状が
ずらずらっと並べられます。

それは法的に考えれば、余分なことだらけの遺言状で
ああ自由に書いていいんだなーと気を楽にしてくれます。

その後、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の
それぞれの良いところ、悪いところ、問題になる点、と
実際の事例を引っ張り出して教えてくれます。
遺言を悪用する人って本当に居るんですねえ・・・・・・。

法律で決められた通りにみんなで分けてくれればいいから、
遺言なんて書かなくても、と思っている人にも
木村弁護士は容赦なく遺言書作成を勧める。勧める。

自分が死んだ後、適正な手続きで作られた遺言状が有れば、
遺族がもめる可能性はぐっと減る。
気が重いのはわかるけれど、 書いておきましょうよと。

ほかにも息子に遺産を相続させないようにするには、とか
猫に遺産を相続させるには、などなどのバリエーションも
忘れずに盛り込んでくれています。

死んだ後のことなど知ったことではないけれど、
紛争の種は少ないに越したことは無いなーと読了した次第です。

遺言状を書いてみる / 木村晋介 [著]||ユイゴンジョウ オ カイテ ミル
筑摩書房 , 2001.2 234p
豊橋 名古屋 車道所蔵
グッドデザインカンパニーの仕事(水野 学)
JUGEMテーマ:自分が読んだ本

グッドデザインカンパニーって知ってますか。

私はさっぱり知りませんでした。
広告会社というくくりに入る・・・・・・のでしょうか。
商品やサービスのブランドコンセプト作りから初めて、
それを軸に広告を作ったりその広告を効果的に活用したり
店舗内のデザインなんかまで広く広く広く請け負う会社みたいです。

会社自体は知りませんでしたが、
こんなところでラーメンズを目にするとは。

ラーメンズの公演ポスターやDVDパッケージなどなどは
この会社の作品だそうで、知ってるモノを目にすると
むやみに親近感を感じてしまうのはどうかと自分でも思います。

ほかにもDoCoMoのiD、アディダス、フランフランなどなど、
こんな意図でコンセプトを作り、それがぶれないようにこんなものを
作ってきた、という事例が満載です。写真を見ているだけでもとても楽しい。

何より本書自体が、グッドデザインカンパニーのデザインの結晶だそうです。
表紙も中味も基本的には真っ白な地色に黒い文字のみのシンプルなものですが、
フォントからポイント、字間、文字ごとのバランスを考えて
左右上下に一文字ずつずらしてみたりとか、文章部分だけでも
とっても強い思い入れが感じられます。とってもお洒落な本ですよ。

私には全くセンスがないので、この会社のすごさは2割くらいしか
わかっていないと思います。2割でも、満足できる本でした。

グッドデザインカンパニーの仕事 : 1998-2008 / 水野学著||
グッド デザイン カンパニー ノ シゴト : 1998-2008
誠文堂新光社 , 2008.11 253p
名古屋所蔵
 
都市の体温(枝川 公一)
JUGEMテーマ:本の紹介
 
東京都市部の新旧取り混ぜた建築物を
めぐるエッセイです。建築物の構造を語る当たりは
渡辺篤史の建もの探訪のような。


本書に出てくる個人宅はかなり特殊なので
建もの探訪とはかなり趣が違います。
昭和2年に完成した2000戸を超える重厚なアパートを始め、
都心の一等地に構える巨大集合住宅が複数取り上げられます。
デザイナーズマンションも裸足で逃げ出す堅実さ。

かと思えばホームオートメーションシステムが売りの
(当時)最先端?のアパートにも一項が設けられたりして。
電話でお風呂が入れられるとか、留守番電話に切り替えられるとかいう
話にしか聞いたことのないシステムですが、今もあるのでしょうか。。。

さて本書で探訪するのは個人宅ばかりではありません。
ホテルセンチュリーハイアットやラブホテル、
上野御徒町のデパート吉池(このレトロさは既に潰れているのでは
ないかとかなり失礼なことを思ったのですが、今も現役です。すごい。)、
下町風俗資料館、とかなり広範囲に探訪しています。

いずれも建築に携わった人、その建築物を使う人の意図を汲んで
存在している力強いたてもの。とても素敵だと思います。

なお、本書は旭硝子のPR誌に連載されていたものだそうで
連載期間は昭和60年から3年間。
「新旧取り混ぜた」と言いましたが、現在から見ると全てが「旧」に
なってしまっていることを併せて申し添えます。

都市の体温 / 枝川公一著||トシ ノ タイオン
井上書院 , 1988.3 245p
名古屋所蔵
だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ(都築 響一)
JUGEMテーマ:本の紹介

「だれも行かないところは、だれかが行かなくちゃならない」
故長井健司氏のことばをもじった本書は、4部構成です。

本屋フェチの私としては、第1部「本屋に出会う」で
地方のいくつかの本屋をめぐる記事がとても楽しかった。もっと読みたい。
それにしてもこのような面白い本屋は名古屋にはないのでしょうか。
ヴィレッジヴァンガードは今でも大好きですが、
それとはまた別の面白い本屋、きっとあると思うんです。
取り上げられるのは見たことがないですね・・・・・・。

第2部から第4部は、タイトルの「だれも買わない本」の書評です。
「なるべく取り上げられることの少ない本を世に出してあげたい」との
考えのもと、地方・中小出版社の本や、マニアックに過ぎて
絶対本屋で平積みされないような本が目白押し。

でも著者の書評が上手なのか、興味を惹かれる本がとてもたくさんありました。
著者が写真を撮って文章を書く仕事をしているからか、
写真関係の本に若干偏っています。それでも
普段自分が今までもこれからも目を向けることが無いような
ジャンルの本がこんなにあるのかと思うと、なんだかわくわくしてしまいました。

中でも、いつかはお目に掛かりたいと思ったのは
「國華」という明治22年から続く、世界で2番目に長寿の
現代美術雑誌全冊のDVD版です。上下巻併せて250万円。
それだけの価格設定になってしまうのに作ってしまうところも、
既に上下巻セットで80数点が売約済みであることも、素晴らしい。

 だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ / 都築響一著||
ダレ モ カワナイ ホン ワ ダレ カガ カワナキャ ナラナインダ
晶文社 , 2008.2 286p
名古屋所蔵
ハードワーク(ポリー・トインビー)
JUGEMテーマ:本の紹介

著者はイギリスの新聞「ガーディアン」紙のコラムニスト。 
新聞だけでなく雑誌に寄稿したりテレビでコメントしたりと
仕事をこなし、当然平均以上の収入を得る50代女性です。

彼女に寄せられた企画が、
「40日間、時給820円という最低賃金で働く」というもの。
それは、家も衣服も家具も食料もほとんど持たず、
身一つで公的機関からお金を借りるところからスタート、という過酷なモノ。
(※全てはシミュレーションなので、実際には手当を受けたり借金をしたりして
税金を浪費したりはしていない。全て著者の懐から出している)

住むところは低賃金者向けの公共団地(のさらに最悪な住環境の棟)。
生活に必要なモノを買い集めたら手元にほとんど資金が無くなり、
職が見つかったら即休職者手当が打ち切られる(次の給料日までどうすればいいんだ)。

ハローワークにあたる施設や街角の求人チラシなどをもとに
著者はいくつかの職を40日間で転々とする。
病院内のポーター(車いすなどの運搬係)、
給食おばさん、外務省内の託児所、老人ホームの介護。。。

いずれの職も、働いている人たちは精一杯なのに
それに比べて賃金が不当に低い。最低賃金を切るものもある。
早朝、フルタイム、深夜の仕事を掛け持ちする人もいるし、
子供が学校に行っている昼間数時間しか働けない人もいる。

政府の方針は的外れで、経済学者の考える方針は
実際に低賃金で働く人たちの動きからかけ離れている。
結果の不平等は機会の不平等に繋がり、低賃金家庭に生まれ育った子供は
そのまま低賃金の仕事に就くことになる。
著者は、確かに切り詰めれば暮らしていけるかもしれないが、
映画を見に行くことも、カフェに立ち寄ることもできない人生が
満ち足りたものだろうか、と問いかける。

イギリスはこれからどのように進んでいけばよいのか。
私には、著者から投げかけられる数々の提案はとても妥当に見える。
そして、イギリスの姿は今後の日本の姿なんじゃないかとの
心配がちらりとかすめてしまう、興味深い本でした。

ハードワーク : 低賃金で働くということ / ポリー・トインビー著 ; 椋田直子訳||
ハード ワーク : テイチンギン デ ハタラク ト イウ コト
東洋経済新報社 , 2005.7 305p
名古屋所蔵